そこにあるのは1つの幸せなのか、
        それとも欲望に渦巻いた只のセックスドールなのか。











        果てに俺が手にするのがどちらなのか、、、俺には全くわからない。












        

( )UCK

        月も隠れて逃げる、新月の暗闇に覆われたある肌寒い夜。         俺は随分と楽しめそうなおもちゃを見つけた。         「…よぉ。こんな所で何してんだァ…?土方ァ」         別嬪がこんな暗がりに夜の1人歩きたァ、犯されにきてるようなもんだぜ…?         その後ろ姿は、以前見たときと同じように扇情的だった。         首筋から覗く項は、噛みつけば鮮血が映えそうな程、抜けるような白さを持っている。         声をかければこちらを振り返って、漆黒の瞳が大きく見開かれた。         「高杉…っ…!!!」         動揺したのか、俺の顔を見た途端に、土方の瞳の光が激しく揺れた。         それを悟られまいとしてか唇をきゅ…っ、と噛みしめながら         俺から視線を反らし、また踵を返して先へ行こうとする。         「…おやおや…、天下の真選組の副長様ともあろうお方が…指名手配犯をみすみす見逃すってぇのか…?」         俺から逃げだそうとした土方の手首を掴みあけ、半ば無理矢理奴の顎を力任せに捕らえて、端正な顔をこちらに向かせる。         「…っ///」         噛みしめる唇からはうっすらと血が滲んでいた。         それから少しだけはだけた土方の胸元と鎖骨あたりに         数え切れないほどの赤の華弁が咲いていたのを目にして驚いた。         そして、よくみれば首筋にもいくつもの鬱血が咲き乱れるようにある。         「これァ…随分と大胆な女だなぁ…?土方ァ…ククク」         「…っ…」         何も答えようとしないのは、そのセックスの相手が“男”だからだろう。         ここまで独占欲の強い女は見たことがない。だとしたら…、男しかいないではないか。         …なにせ、俺自身が経験している。         俺の躯に無駄に痕を残したがる、迷い猫で遊んでいたことがあった。         …今じゃぁ、何処の遊郭に売ったかかも全く覚えてはいないが。         いやに独占欲が強くて、刃物を持ち出された事があって、鬱陶しくなったからだ。         「…てめぇ…には関係…ね…ぇ」         弱々しくも、俺の手を振りきろうとするその動作も男を煽っているようにしか見えない。         抵抗するならもっと激しく抵抗するもんだろうが…。         男に犯されたくて、こんな夜にふらふら歩いてやがったな…?         どうやら奴は1人じゃ満足できないようで、土方から幾つもの香りが夜風に乗って俺の元へ運ばれた。         甘ったるい菓子の香りに、安らぐようなほのかな香り。         それから、ガキが好んでつけそうな香水の匂い。         甘いに匂い。         間違いなく、それは俺の知っている男の香りだ。         奴は…銀時は目立つ場所には刻印を刻むのを好まない。         そういうねじ曲がった性格なのだ。彼奴は…。         “此れ”は自分の物だと他人に気づかせるためにあえて、目立たないような蕾の辺りや、         足の付け根に近い内腿に接吻づける。         だとすればこの大量の華はあの、真選組の金髪辺りだろう。         こんなあからさまに痕を刻まれておきながら、その意味も分からないのだろうか?         それでもまだこんな暗がりを歩いているのだ。         一体、何人の男に抱かれれば気が済むのか。         …こいつァ真性のマゾだな…。         …男の煽り方を躯が知ってやがる。         まず初めに…何処のどいつに躾られたんだかは知らねぇが…。         随分と飼い慣らされてるみてぇだな。         「離せ…っつってんだろ///!!!」         キッと俺を睨みつける瞳はとうに欲と涙で濡れていた。         潤んだ瞳は確信的。         わずかに頬が紅潮しているのも分かった。         俺が怖いのか躯も瞳も静かに揺れて、震えていた。         けれども恐怖に怯えるようなその表情にさえ俺は欲情するのだ。         俺の加虐心が酷く煽られて、衝動が揺さぶられる。         ニヤリと口の端を三日月型に歪めながら、土方の腰を抱き寄せて下腹部を密着させる。         次第に俺自身も熱を持って頭をもたげていくのを分からせてやる為に。         手のひらを土方の腰からゆっくりと尻へと這わせて         着物越しに双丘の谷間に反って指を滑らせた。         「…っ…ゃめ…触るなぁ…ぁ、はっ…///」         ビクン…!、と素直に躯が反応して、俺の腕の中で土方の背が弓なりにはねた。         「触るなだァ?…じゃあ…これは何だ…あん?」         布越しでも分かる程、蕾の入り口は湿っていてもの欲しそうにヒクヒクと収縮を繰り返している。         きゅ、と指の間接を折り曲げてやれば緩く解されていた土方の蕾は         布ごと俺の指をナカへ誘い込もうとパックリと口を開いた。         土方の愛液にじっとりと奴の着物も濡れてゆく。         「ぁあ…っ…ゃっやぁ///!!!」         耐えきれなくなったのか、ビクビクと反応しながら土方は急に俺の首に腕を回してしがみついた。         人一倍プライドの高そうなこの男が、だ。           「…ククッ…まさかお前が雄を銜えるのが大好きだったとは知らなかったぜ…?」         「…ぅは…ぁ…んふ、ぅ///」         「もっと早くに言えよ。…俺は…淫乱なら…女でも男でも…いつだって相手してやるぜ…?」         …男に直腸突っ込まれて…犯されてェんだろ…?         壊れるぐらい、激しく。         土方の勃起した股間を膝の頭でぐりぐりと刺激してやる。         しっかりと熱を持った其れは今のこの状況に         明らかに興奮しているのが分かる。         弐→