君に逢いに。
「ったくよぉ〜…なんだってんだ…こんな街ばっか浮かれやがって…警察にクリスマスなんざねぇってんだ!!!」
土方は1人、ぶつぶつと文句を言いながら真選組屯所の門をくぐった。
今夜はクリスマス・イヴ。
街には美しいネオンがキラキラと輝いて、恋人の笑顔さえも眩しい。
けれどもこんな夜だからこそ、浮かれた街に隠れて
何かやらかそうというテロリストがどこに潜んでるやもわからない為、市中見回りをしなければならない。
だから彼らには休みなどないのだ。
「…?」
さほど屯所から離れていないところで、誰かに後を付けられている気配を感じ、土方は立ち止まった。
「…誰だ?」
遠くに聞こえる街の賑やかな喧噪だけが耳に届く。
あたりはシンと静まり返った漆黒の闇で、かろうじて手元にある灯りだけが唯一の光だった。
その中で相手に悟られぬように、右手を刀の柄にやる。
「…待ちくたびれてしまったんだが」
「…桂っ!?」
―…攘夷浪士、桂小太郎…っ
なんでコイツがわざわざ…屯所の近くに…。
「桂ぁ!!!わざわざこんなとこまでやってくるたァ、い〜い度胸だ!!!今すぐお縄にかけてやらぁ!!!」
指名手配犯をこんなところで見つけてそう簡単に引き返す訳にはいかない。
土方はためらうことなく刀の鞘から抜きとった。
「…血の気が多い男だな。…今日は貴様に会うためにわざわざやって来たんだ。」
「…あ?」
攘夷派の人間が?
敵である、幕府の犬の警察に…?
俺…に?
「刀を降ろせ、俺は今夜は何も持ってきていない。…1つ、除いてな」
「…やっぱり奇襲に来たんじゃねぇか」
「だから貴様に、会いに来たんだと言っただろう?」
「…何わけのわからん事を…っ…///!?」
桂は小さくフ…、と微笑み土方の冷え始めた体を自分の胸元に抱き寄せ細腰に腕を回す。
「…なななてめぇ本当何してんだ///!!!ははは離せ!!!馬鹿野郎///!!!」
「…どうやら俺は貴様を気に入ってしまったようでな…夢にまで見るぐらい…」
「んな…なに言って…っ…///」
土方は桂の突然の行動が理解できずただその腕の中で赤面しながらあたふたと慌てていた。
「…わからんか?…好きだ、と想いを告げたつもりなんだが?」
「はぁ///!?ぉ俺は男だ!!!」
「愛に性別など関係なかろう…?」
「…俺はてめぇの嫌いな幕府側の人間だぞ…///」
「…なら今すぐ手錠でもかければ良い」貴様に捕らえられるのならば本望だ。
頭の上から聞こえる桂の声に迷いなどなく、しっかりとしていた。
「…もう攘夷は良いのかよ…」
しかし、その桂の言葉は頭の中で反芻しながらも土方は桂の両手首に手錠をかけようとはしなかった。
「…それも…諦めるわけにもいかないが…貴様にならば捕まっても良い」
(―…愛に生きる攘夷浪士って…なんだよ///)
「…急な告白だな…おい…///」
初めは、この桂の告白さえも俺を油断させて
屯所を襲うつもりなのかと思っていたが、どうやら本気で土方への想いを告げたらしい。
「ふふ…こんな夜ぐらい愛しい想い人の幻じゃなく、温もりに触れたいと思うだろう?…一方的だが、俺にとっては最高の贈り物だ。」
貴様を…この腕の中で抱いてる、今、この時が…な。
「…俺だけのものには…なってもらえないか…?」
桂 小太郎
※ぶっちゃけ言葉がよくわからない、、、口調、か。