愛しいひと

「めりぃくりすまぁ〜す!!!」 パン!!! 風邪の熱に犯されて寝込んでいる土方の自室の襖を勢いよく開けて、 はた迷惑な音でクラッカーを鳴らしたのは近藤だった。 酷い頭痛がする頭がさらにガンガンと痛み出す。 「うっせぇよ!!!ゴリらぁゲホッゴホッ」 「あーっと…こらこらトシ、大丈夫か?…ったく、まっさかお前が風邪なんざひくたぁなぁ…しかもせっかくクリスマスだってのに」 近藤は土方の布団の傍に膝を突いて座り、土方の背中を優しくさすった。 「…ゲホ…っ…ぉ、れは馬鹿じゃねぇから風邪ひくんだよ///」 「失敬な!!!俺も馬鹿なんかじゃない!!!」 「…いくらクリスマスだからって…良い年こいたおっさんが…ミニスカサンタなんか…っぁ…」 近藤に毒を吐いている途中、クラリと目眩がして土方は布団の中に逆戻りしてしまう。 「ホ〜ラ、ゴリラを馬鹿にするから。…つーかお前、熱すげぇじゃねぇか。…ちゃんと冷やせっつっただろ!」 近藤は馬鹿、と窘めながら土方の額に自分の額を寄せ熱を確かめる。 「ぉ…俺は大丈夫だから///…みんな待ってんだろ…近藤さんは戻って良いって」 土方は元から赤かった頬をさらに紅潮させて、近藤の方を力無く押した。 「…戻って…って…お前、昼からなんも喰ってねぇし」 「…や…///」 「うん?」 「…やっぱり…傍に…居…て///?」 そういう土方の左手は弱々しくも近藤の服の袖をひっぱっていた。 「…近藤…さ…ん///」 袖をひっぱっていた両腕をゆっくりと近藤の首に回し、潤んだ瞳で近藤を見つめる土方。 「…当たり前だろうが。可愛いハニーのお願いじゃぁ断る理由もねぇだろ?」 どっこでそんな可愛い仕草覚えてきたんだか。 ふ…、と優しく微笑むともう1度、寝ている土方の傍らに座り直し、そっと彼の絹糸のような漆黒の髪を撫でる。 愛おしそうに目を細めながら、苦しそうに呼吸をする土方を優しく諭すように言葉をかける。 「…明日になったらきっと良くなるさ。…したら…そうだな、仕事終わったらどっか行かねぇか?…もちろんトシが行きたい場所で良い」 …久しぶりに、俺とデートしに行こうぜ? 俺だけの、お姫様。 近藤 勲
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