恋慕。好き。

武装警察真選組も今夜だけは無礼講。 今夜は聖なる夜、クリスマス・イヴ。 酒のつまみにケーキをつまんで、何杯も飲んで、喰って、笑って、騒いで、、、 たまにはそんな夜も良いと思う。 「…で?…これ、どうするよ、山崎」 屯所の大広間に酒の飲み過ぎで泥酔しきった隊士達が 死屍累々よろしく、畳の上に足の踏み場もないほど転がっていた。 ケーキのクリームや、豪勢な夕食の残飯、空の酒瓶も一緒に無惨にも転げ落ちている。 「今日は副長、飲んでないみたいですね?…俺もですけどっあ、もちろんケーキは喰いましたよ。」 「…ケーキを酒の肴に喰えるわけねぇだろ。邪道だ、邪道。俺だったらぁー…」 「“スポンジケーキにはマヨ特盛り”、ですか?」 「あ?わかってんじゃねぇか、お前」 クスクスと笑いあって、土方は自分の足下に転がっている真選組の局長の肩を足蹴にする。 「…しっかしまぁ、良い年こいた親父がサンタさんのコスプレかっつーの…こんなんが俺らの大将とはねぇ…」 思わねぇ? それでももちろん、真選組の隊士全員は、そんな近藤の優しく温かい心に惹かれてここまでやってきているのだ。 山崎も小さく笑って、ふと思い出したように口を開く。 「…そういや、例の“お妙さん”をクリスマスデートに誘ったらしいですよ?…このカッコで」 「…んで、フラれた訳ね。」 ちらりと近藤の横顔を見てみれば、赤くはれた頬がガーゼに覆われていた。 小さく苦笑いをしながら近藤の傍に、ドカと腰を降ろした。 「ま、毎年俺らの為に、わざわざ自腹切ってこうして宴会開いてくれるんだから…感謝しねぇとな。」 山崎は、そう良いながらも近藤の安らかな寝顔をみて優しく、そしてやっぱり美しく微笑む土方の横顔をみて 胸を高鳴らせると同時に、何かに心臓を鷲掴みにされたような痛みを感じた。 「…ん?…どした?山崎」 急に俯いて、黙り始めた山崎をいぶかしげに思った土方は、 上目遣いに下から山崎の顔を見上げる。 ダン…! 「…ぁ?」 土方の視界が90度変わって、天井が視線の先に見えた。 山崎が土方の肩を掴んで、馬乗りになるとそのまま土方を力任せにに押し倒したのだ。 自分よりもずっと小さな体が、震えながらも強い力で組みしいている…、 土方は驚きのあまりしばらく声が出なかった。 (―…なんで山崎が…俺を…?) やっと、この状況を理解して、なんとか口を開いて怒鳴りつける。 「…っ///!?!山崎ィィィ!!!ぉ、ぉぉお前、ホントは酔ってんだろ///!?」 山崎は、逃れようと自分の下で暴れる土方の両手首を捕らえて、蝶の標本のように畳に縫いつけた。 「ぁ…てめ…ぇ///」 「…そうかもしれないです…」 いつもじゃ、勇気が出なくて…自分からじゃ声もかけらんないぐらいですから…。 「…山…ざ…んぅ///!?…ふ」 言葉を遮るようにして、自分の口唇を重ねると抵抗をする暇も与えずに 土方の濡れた唇を舌でこじ開けて口吻の味を深く貪る。 「ん…ふ…ぁ…やまざ…きっ…んん」 舌先だけを絡ませたまま繋がって、角度を代えてもう1度深いキス。 「ぁ…は、ァ…っ…///」 銀の絹糸がわずかに煌めいて、土方に激しい目眩を覚えさせた。 山崎の口吻は甘ずっぱいワイルドベリーと甘い甘いケーキの味。 土方のキスは苦いのに、どこか甘みを帯びた煙草の味。 「ト…シさ…ん…」 山崎は切なそうに眉根をわずかに寄せると、泣きそうな声を震わせながら土方の耳元に嗚咽混じりに囁いた。 蚊の泣くような…か細い声で…。 「俺…貴方が…貴方が…好きなんです…。…貴方が…他の誰かを見ていたとしても…それでも…っ」 山崎の瞳から、ポロポロと涙が零れて土方の頬に落ちる。 「俺は、貴方を愛してしまったんだ…っ…」 山崎 退
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