僕の、サンタ様
真選組内の年に一度の、クリスマス・パーティーと称した大宴会が開かれたクリスマス・イヴ。
浮かれた隊士達は揃いもそろって馬鹿笑い。
酔いが回った隊士達は近藤を始め、服を脱ぎだしたかと思うと腹踊りまで始める始末。
「トシぃ〜♪どうだぁ?お前も一緒にれっつシャル・ウィー・腹ダぁ〜ンスvV」
「アンタいっぺん他界しろよ。」
すっかりできあがってしまったらしい近藤が、畳に座って煙草をふかしていた土方に声かけたが
ニッコリ笑顔で酔っぱらいの近藤をバッサリと斬り倒した。
「しっしどぃっ!!!…ママはトシ君をそんな子に育てた覚えはありません(;Д;)!!!」
「育てられた覚えはありません。」
「この不良息子ぉぉぉーーー!!!」
まるで話のかみ合わないまま近藤は両手で顔を覆って、わーと大声を出して泣き(真似)喚いた。
スパァァァン!!!
「めりくり〜、総悟君サンタのおでましですぜぃ♪」
今まで(こんな酔っぱらい共を俺に押しつけて)姿をくらませていた総悟が、
勢いよく襖を開けて入ってきた。
…金髪の頭にはアイマスクの代わりに、真っ白なふわふわのボンボンがある、真っ赤な帽子。
真っ赤な上着に真っ赤なズボンに、ウェーブのかかった真っ白な長い髭を付けている。
背中にしょっているのは、白い大きな袋。
まさにクリスマスの時期の子供達のヒーロー、サンタクロースそのものだった。
「総悟っ!?ぉぉぉお前なんだそのイカれた格好
「総悟くぅん!!!トシ君が勲ママをいじめるのぉ〜!!!早くもとのいい子に戻してあげてぇ〜!!!」
「うぜぇよ!!!アンタうぜぇよぉぉぉ!!!」
「あらあらイケやせんぜ?多串君。…ほら、近藤さん。俺がプレゼントやるから涙と汚ねぇ鼻水を拭きなせぇ。」
ついでそんな鼻垂らしたまま、俺に触るんじゃねぇや(^-^*)-☆
袋を畳の上にドカリと降ろし、中からゴソゴソと何かを取り出し近藤に向かって、その言葉と一緒に投げつけた。
「お妙さぁぁぁん!!!」
どうやら近藤へのプレゼントは例の“お妙さん”のブロマイド写真だったらしく、近藤は瞳を爛々に輝かせて写真に飛びついた。
「さて…と、やぁ♪多串君♪」
「…喧嘩売ってんのかコノヤロー。」
「違いまさァ、総悟君なりの愛情表現って奴でさァvV」
「…で、なんだその格好は…」
ついに頭に虫が沸いたか?
「違いやすって、心優しい総悟サンタさんは常日頃頑張ってる仲間にご褒美を―」
「沖田たいちょぉおぉ!!!俺らにもなんか下さいょぉ!!!」
女っ気がなくてもう泣きそうなんですよぉ〜(;^;)!!!
総悟が自慢げに語りだした矢先に、他の隊士が泣きつくようにして涙を流しながら、総悟の足下にすがりついた。
「もちろんおめぇらにもちゃんとプレゼント、準備してあらぁ」
「ま、マジすか!?持つべきモノはやっぱり副長より沖田隊長ですね!!!」
「…お前等、明日が来ねぇと思えよ?」
総悟は再びサンタクロースのプレゼント袋の中をゴソゴソと漁り始めて、
その中から大量のエロ本(かの有名なグラビア星・セクシー天人仕様)を取り出して群がる男共にまき散らした。
まさに蠅のように艶本に群がる、男達を冷ややかな目でみると同時にその光景に呆れる土方。
「…そんなにコイツら女に飢えてんのか?」
「そりゃそうでさぁ。ま♪俺には可愛い土方さんがいやすからねぃ♪(…毎晩、エロいことしてズコズコでさぁ♪)
土方さんにも、プレゼントありやすぜぃ?どびきりすげぇのが♪」
その“とびきり”のプレゼントに多少なりとも目が眩んで、土方が総悟の心の中の黒い叫びを聞き逃していた事は
今後の彼の運命にとって、幸か不幸かはわからない。
「…マ、ヨ?」
“そんなモンはいない”と分かっていながらも
密かにマヨネーズ1年分を、サンタクロースにお願いしていた土方は総悟の次の言葉に心を躍らせた。
「…色気ねぇこと言いなさんな…萎える」
「…じゃあ何だよ」
総悟はにっこりと微笑むと、袋をひっくり返してその中身をすべて畳に出した。
「ぎゃぁぁあぁぁ///!!!」
土方はその“プレゼント”を見るなり、耳まで真っ赤に染めて、絶叫した。
なんと袋の中に入っていた土方へのプレゼントは、いわゆる大人の玩具。
山のように積まれた玩具の中には男根を忠実にかたどった物やつくりものの猫のしっぽが付いたバイブに、
ふさふさのピンク色のうさぎのしっぽがあしらわれたピンク・ローター。
それからいかがわしすぎる色をした妖しい液体。
猿ぐつわにファー付きの手錠。
他は、もう何に使うのかさえもわからない道具ばかりがあった。
「ぉ…おまっ…お前これ…///!!!」
「まだ、あと1個ありますぜィvV」
そのグロテスクなアダルトグッズの山の中から薄ピンク色のレース付きリボンを2本取り出して、片方だけを自分の首に巻き付けた。
可愛い蝶々を形どるリボン結び。
「…俺、でさぁ…。」
好きにして…良いんですぜぃ?土方さん。
未だに真っ赤になったままの土方に詰め寄って、かすめるように唇を奪うと自分と同じように
土方の首にピンク色のレースのリボンをあしらった。
「代わりにもちろんアンタは…俺のプレゼントってことになりやすけど…ねぃ♪」
さぁて…、どれから使って…楽しい聖なる夜を過ごしやすかぃ…?
沖田 総悟