めりくり

今日は街も浮かれるクリスマス・イヴ。 いつもは仕事が忙しい武装警察の副長様も、今日は久しぶりに貴重なお休み。 24日だけは絶対に空けておけ、と口をすっぱくして銀時は土方に言っていた。 待ち合わせは夜の6時。 屯所からずいぶんと離れた賑わう街の街角だった。 しかし当の本人である銀時は約束の時間を過ぎてもやってこない…。 「…っ!?」 突然、背中の後ろの裏道から誰かに抱きしめられる。 勢い余って、前にこけそうになるが、こんなことをするのはもちろん…1人しかいないに決まっている。 「いよ♪多串君、おまた〜vV」 首だけ振り返ってみれば、自分だけ幸せそうに、ニコニコと微笑む銀時のアップの顔があった。 土方の肩口から顔がをのぞかせている。2人の距離は零センチ。 「銀時…っ///ば、馬鹿野郎…きゅ、急に何やって…て!!!自分で約束しといてなぁに遅刻してやがる!!!20分遅ぇ!!!」 「男の子にもいろんな準備が必要なんだって。そのくらい分かってよ、もぉ〜」 必死になって自分の腕から逃れるためにと、じたばたと暴れる土方があまりに可愛くてクスと小さく笑みを零す。 銀時はさらに土方の細腰を自分の元へと抱き寄せると、土方の白い項に優しく舌を這わせた。 「こら…ぁ///」 「ぅん?…美味しそうだなぁ…って思って。」 真っ白で、雪みたいで…でも甘そうで。 粉砂糖で甘く飾ったケーキみてぇ…。 「ぉ…俺は食い物じゃねぇ…っ///」 「…どーだかvV俺にしてみたら立派なデザートだもんvV」 それも最高級の…ね。 「…お前、頭んなか砂糖でできてんだろ…///」 クスクスと微笑んで、銀時は再び口を開いた。 「…んね…あとさァ…」 「あ?」 「此処に…」 銀時はおもむろに土方の左手を取り、指を絡ませるとそっと唇を寄せる。 例の左手薬指。 「…ぁ…っ///」 押しつけられた濡れた唇が、思いの外熱を持っていて、土方はその熱さにビクンと反応してわずかに背筋を震わせる。 赤みを帯びていく白い、頬。 「此処に…俺からのクリスマスプレゼントもらってくんない…?」 ちゅ、ともう土方の1度薬指に接吻づけて、土方の左手に頬を擦り寄せる。 「…ん…ふっ///」 「ホント可愛いね〜、多串君は…指、舐められただけで感じちゃうんだ…vV」 「…っち…ちが…///」 土方の左手の中に真っ赤な、小さなプレゼントを握らせる。 リボンの代わりに黒薔薇の小さな飾りでデコレーションされている。 「婚約指輪なんかじゃなくてぇ、もうそれ…結婚指輪だから」 “トシ君は俺のもの”宣言。 「銀時…///」 振り向きかけた土方の唇を奪って、啄むように何度も接吻づける。 「…大好き。ホントに好き、大好き」 …もらって…くれるか? 坂田 銀時
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